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さっかのけいけん

作家の経験

宮本 百合子

「展望」1947(昭和22)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,801 字 · 25 页

青空文庫

そのようにおさなかった。稚く、こわばって、まじめであった。

この事実は、日本における社会主義的リアリズムの理解を今日にいたるまでまったく歪めた。この理論から文学における階級性の消滅だけが強調された。プロレタリア文学が自分の歴史性を喪って、治安維持法と検閲の枠内だけに棲息する文学になり下るモメントとなった。三二年に国際的決定を見た日本の半封建社会は、その社会に即する半封建の思惟力と文学のよわい脚との上に、プロレタリア文学運動もろとも社会主義的リアリズムという、未来にわたって展望の長い、興味ふかい国際的な文学課題までも、崩れへたばらせてしまうことになったのであった。

ファシズムにたいしてたたかう民主精神、ヒューマニズムの主張としてフランスを中心におこった人民戦線の運動が、この度の大戦中、どんなに社会的・文学的に高貴な地下活動を行ったかは、今日私たちが少しずつ学びはじめている。同じその時期、日本での人民戦線の提起が、どんなにその枢軸たる社会性・政治性を抜き去ったものとして行われたか。階級性ぬきのものとしようとしてついに能動精神というモットーにおち、もう一段の悪情勢で、日本の文学がほとんどまったく侵略戦争のローラーにひしがれたということを、悲傷をもって経験している。