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はいくのつくりよう

俳句の作りよう

高浜 虚子

「ホトトギス」1913(大正2)年11月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,854 字 · 91 页

青空文庫

それが単に甲の昆虫もいる、乙の昆虫もいるというように並べ立てただけでは興味がありませんが、たとえばまず初めになんとかいう虫がその薔薇の芯に寄生すると、その虫を食うために他の虫がまたその傍に寄生する、そうすると今度はまたその第二の虫を食うために蟻が茎を伝って登って行く、というようなことになり、そういう関係から際限もなく多くの昆虫の薔薇にいることが説明されていたのであります。

こういう科学的の研究はちょっと文学には関係のないことのようでありますが、その実研究の方法こそ違え文学者もまたこれに類した研究をすることによって、新しい文芸を産み出すのであります。わが俳句にあっても同じことで、科学者のように顕微鏡を用いたりメスを取ったりこそはしませんが、じっとものに眺め入って、今まで人の気のつかなかったあるものを捕えてこよう――発見してこよう――とする点には似寄った努力が費やされるのであります。同じく薔薇を見ているにしても、俳句を作る場合には、我等は一茎の薔薇にじっと目をやって、そこに我等と薔薇との間にいかなる神霊の交通があるか、自然――神――はいかなる不思議を我等に見せてくれるか、我等は精神を一所に集中して、じっとその薔薇と睨めっくらをしていることによって、文学上の新発見をすることができるのであります。