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はいくのつくりよう
俳句の作りよう
高浜 虚子
「ホトトギス」1913(大正2)年11月~
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,854 字 · 91 页
ゝゝゝ穴にかけ込むゝゝゝゝ 藤尾
の類でありまして、蟻そのものの感じというよりも人間が蟻になり代わった感じになっています。
たいがいのものは以上三類中にはいってしまいましたが、ここにはその三類中に入れることのできぬものを少し残しました。それは、
大蟻の呪文雲呼ぶ暑さかな 時綱
ゝゝゝつく脂に松の暑さかな 神櫻
ゝゝゝ泉にもがく暑さかな 喜笛
の三句であります。
「呪文雲呼ぶ」というのはどういうことを言ったのでしょう。修行者などが呪文を唱えて雨乞をしているそばを大蟻が這っているものとしては句法がそれらしくありませんし、また句法に従って大蟻が呪文を唱えて雲を呼ぶものとしては少し突飛すぎるので、この句の意味は私には判らないのであります。
「つく脂に松の」という句は、「大蟻の」という上五字と「暑さかな」という下五字とを直接の意味に結びつけなかった点に技巧を認めます。すなわち今までの句はおおかた、大蟻がどうかして暑さかな、というふうに「大蟻」を主格として取り扱ったのですが、この句は「松」を主格として、大蟻がその脂につくところの松の暑さかな、というふうに叙したのであります。