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はいくのつくりよう
俳句の作りよう
高浜 虚子
「ホトトギス」1913(大正2)年11月~
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,854 字 · 91 页
五
そうして雨がザーザー降っている。そこの町が人通りなどもたくさんある町でなくて、荒れ果てた士族町か何かの光景である。まずかくのごとき複雑な景色がほとんど符牒のごとく、「町淋し」と言い「雨の筍」と言い「貸家札」と言って、これでその景色を想像しろといったふうになっている。これらもずいぶん文字を省略して、俳句独特の想像にまたなければ解釈のできない句である。
五
次にかかる約束、かかる形式の下に行われる俳句の特別の趣味というものを一、二説明すれば、その一は天然趣味というようなものである。小説とかその他多くの文学ではおおむね人間というものがその主体となって、人間というごときものが主として描かれることになっているけれども、人事というものは複雑なものであって、簡単に表してはとうていその趣を十分に伝えることはできない。それに反して天然物の方は人事に比して簡単である。少なくとも簡単に表してなおその趣を伝えやすい。これが十七詩たる俳句で主として天然物が詠ぜられる原因であった。同じ短い詩の中でも和歌にくらべても、中国の詩にくらべても、俳句ほど天然物を詠ずるものはほかにない。