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はいくはかくかいしかくあじわう
俳句はかく解しかく味う
高浜 虚子
「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页
精細な写生ではないが正直な写生である。
手に満つる蜆うれしや友を呼ぶ 子規
蜆を取りに野面に出た時の句で、蜆を取っていると手に一杯取れた。その辺を見渡して見ると、友は少し遠方にいるので、「おいおい、こんなに蜆が取れたから、早くその籠を持って来てくれ」と、呼ぶのである。今までは蜆を取る方にばかり夢中であって、友と離れておる事などは心にかからなかったのであるが、手に一杯蜆が取れて見ると、それを入れるものがなけりゃならぬ、初めて籠を持っている友の事に思い及んで、それを呼ぶというのである。些細なことを言うたものであるけれども、何の巧みもなく事実を叙しておるために力がある。
連翹や紅梅散りし庭の隅 子規
この句の如きも何でもないことを言ったようであるけれども、事実をそのまま写生しているところに隠くすことの出来ぬ力がある。或庭の光景で、其処の紅梅はもう散ってしまったが、その頃庭の隅には連翹がもう黄色い花をつけていた、というのである。紅い紅梅の花の散ってしまったのは目立たしいが、しかもそのあとにもうちゃんと外の花が咲いている、それは庭の隅に在る黄色い連翹の花で紅梅ほど目立ちはしないけれども、それでもなお人の目は自らそれに映って、小庭ながらに春花に富むような感じがするのである。