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はいくはかくかいしかくあじわう

俳句はかく解しかく味う

高浜 虚子

「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页

青空文庫

――少し無理かも知れぬが――なおまたこうも解することが出来る。「あれ聞け」というのは二、三人集まっている席上の一人が、「あれを聞け、鐘の音がして来た。」とそう言ったので、それは折節時雨の降って来た途端であったというのである。中でこの解が穏当かと考えるのであるが、しかしいずれの解にしても時雨るる夜に――あたかも時雨来る途端に――鐘の音も聞えて来たという光景は一つである。今度は前の雛の句と反対に光景は一つであって、「あれ聞けと」という初五字の意味が曖昧なのであるが、その初五字はどう解釈するにしても、時雨来る夜の鐘の音について、作者の打興じた心持は覗うことが出来るのである。やはりこの句の趣味の上にはたいした異同はないのである。殊にこの句の如きは一直線に叙した調子がよほど趣を助けておるので、初五字の意味は曖昧でありながら、なお時雨るる夜の趣を強く受入れることが出来るのはこの調子の力に帰すべきである。其角の句は難解であって一部『五元集』を初めから終まで解釈し得る人は一人もあるまい。それは其角が偉いというよりも、其角という男はそんな判らぬ句を作って得意であった男だと言ってしまって差支ないのであるが、それでいて判らぬながらも何処やら面白いという句が相当に在るところは、やはり其角の偉いところである。