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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
私は又おどろいた、伯母は知ってるのだ、そして鶴子というんだ。私は陳列棚の所に立ってそっと見ていた。
そのショールに決めて、通い帳に書いて貰う間娘は何もいわなかった。静かに腰かけて、待っていた。
「お稽古に通ってるの」
「ええ」
「このごろはずっと茶園の方?」
「ええ」
「少しお弱いものですから」
と女中が応えた。
帰りしなに、
「お母さんによろしくね」
と伯母が言った。
「綺麗な子だが、可愛そうに弱い」
と娘が帰った後で伯母が言った。
伯母が知ってる家の子なのか、私はうれしくなった。私はそれから暫らくのうちに、どうして聞き出したか、その娘が長屋(字の名)の畳表屋の娘で、本店は長屋の通りにあることを伯母から聞いて知っていた。
私は時々本店の前でその娘の姿を見ることもあった。しかし知り合う機会は無かった。
春になって桜が咲くと西国寺では毎年花供養というものがあって、賑やかな人出であった。
鐘の音は花の雲の間から聞えて山にひびいた。門前にならぶ店々。麗衣の人や、漁民の群れ、近郷の農夫たちのおびただしい雑沓。その間を縫うて御詠歌講中の行列。
私は伯母につれられて本堂に上り、特にゆるされて庫裡の方へまわって休息していた。