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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

稚児の行列の出るのを待とうと言うのだ。伯母は小さなキセルを出して煙草を吸うていた。この伯母は私の父に似て骨細で、華奢な、美しい才女であった。

と目の前の廊下を通りかかったのは彼の娘であった。

「おや、お鶴さん。一人?」

「いいえ、お母さんと。……そこへ来ました」

彼女の母が来て、伯母と挨拶を交わした。

「これは私の甥坊です。奥から来ていますの」

奥というのは田舎ということだ。私はきまり悪く、赤くなってお辞儀した。娘は凝っと私を見ていた。彼の女は今日は紫色の晴衣を着て、藤倉を穿いていた。長い廊下を歩くからだ。

鐘が鳴って、稚児の行列が向こうの渡り廊下にあらわれた。笙や篳篥の音が始まった。私たちは立ちあがってその方へ見に行った。

私は鶴子とすぐ並んで欄杆にすがっているのだ。彼女の袂は欄杆にかかって、下へこぼれていた。私は胸がわくわくした。美しい稚児の列は目の前を過ぎて行った。ささげ持った経机、さしかけられた天蓋傘、ゆらめく瓔珞、美しくお化粧した男の子は男の子故にさらに不思議な、美しさが出ていた。何かこの世ならぬ美と浄楽の世界を、それは人間に暗示しようとするもののようであった。