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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

白い装束をつけた神主が玉串をささげて祝詞をささげたが、冒頭に、

秋山にもみぢ葉燃ゆる神無月、大神のみ前につつしみて申さく、氏子、倉田大人、みめぐみもて、うから健かに、なりわい栄えて……

私は冠をかぶったその神主の品格のある挙措と、静かな、よく透る声と、祝詞の美しいのに引きつけられた。神道もいいものだなと思った。

拝が終ると、極くささやかな、内輪的な神事が執り行われて、巫女がただ一人扇と鈴を以て舞をまった。横笛太鼓との物静かな伴奏に合わせて、ゆるやかに輪を描いて舞うその小さな巫女を私は美しいと思った。彼の女は青畳の上に俯すように身をかがめたり、また仰向きに反り身になったりして、鈴と扇とを品よくあしらった。彼女の髪は長くて、いく度も畳に届いた。緋の袴をはいて薄くお化粧していた。もとより一言も私たちに口をきかず、舞い納めると簾の奥に静かにかくれてしまった。

伯父と家に帰った私には何かの移り香が残っていた。

万葉集にある

めづらしと吾が思うきみは秋山の初もみぢ葉に似てこそありつれ

こう言ったような気もちであった。しかし私はいつしか忘れてしまっていた。

が或る日丑寅神社の境内にある機械体操の鉄棒で私がヱビ上りなどやっていたら、人が来て見ていた。