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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

と別れしなに鈴子は言った。

私は鈴子と顔を合わせることが多くなった。会の時でなくても丑寅さんの境内に行くと、よく出遇った。彼女はこの春女学校を出たばかりで、まだ女学生くさかった。

「あなたは巫女になるととてもきれいですね」

「あら、御覧になって?」

「ええ。あの舞は誰に習ったんですか」

「母に。極く小さい時から習いましたの。信一兄さんはいやがりますのよ」

「何故だろうな。僕は巫女になったあなたが一等好きだな。女学生服なんかよりよっぽどいいと思うね」

「あなたはクラシックね。本当は私も巫女になるのいやじゃありませんの。子供の時よくお友達にからかわれて恥ずかしかったけれど」

「恥ずかしいことなんかありませんよ。とてもきれいですよ。あれはクラシックというよりミスチックですね」

「そう、ミスチックですね」

「やっぱり万葉なんかやってらっしゃるから自信が持てるんですね。――明日の会、選んでいらっしゃるでしょう」

彼女は赤くなって、

「選んでは置きましたけれど、あたしどうしようか知ら?」

「持って出なさいよ。自分の恋歌じゃなし、自分のだって構やしないけれど……」

「お父さんの前だけれど――」