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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
「文学は自由でなくっちゃ」
「あなたも勇敢ね。あなたは文学者におなんなさるつもり?」
「何だか解らないけど、僕は文学者は好きですね」
「私も好きですわ。万葉集には女の歌よみが多いわね」
「あなたは歌をよみますか」
「ええ。少しはよみますわ」
「僕に見せて下さい」
「だって恥ずかしいわ」
「構やしませんよ」
「そのうちお目にかけますわ。あなたも見せてね」
「僕見せるけれどまだ拙いですよ。初めだから。でも直きにうまくなりますよ」
「ええ、そうよ。作ってお父さんに見て貰いなさい」
「ええ。会は実に楽しみですよ」
「一緒に習いましょうね」
実際私は尾道でのただ一つの「学びごと」が出来たのを喜んでいた。それに鈴子という「稽古友だち」がいることが私を牽きつけているのは争われなかった。彼女は雌鹿のような優しい目付きをして、いつも私の歌まなびに影のように付き添ってくれたから。
翌る晩の会のときはおもしろかった。
一等初めに小学校の若い先生が自分の選んだ一首を発表した。
言に言でていわばゆゆしみ山川のたぎつ心をせかえたりけり
「ふーむ。君の注釈を少し加えて見給え」
仁田さんは微笑みながら言った。