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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
もともとリアルな根の無い、年少のすさびはそうした境遇の変化によって、いつしか色褪せて、別の生活の波にさらわれてしまったのであった。
寧ろ今日になって昔を追憶するときに、人間の遭遇と、その別れの運命とが惻々として哀愁を私にそそるのであった。その当時にはありあまる強い生の刺激が私をまぎらしてしまったのであった。
人間が愛して、触れ合って、やがて別れるという過程は何という悲傷であろう。何故いつ迄も別れずに愛しつづけられないのであろうか? 時と、境と、変化との法則というものが人生にはあるようだ。そしてそれはひとつの摂理である。摂理は人間的なはからいより強いのである。我々はそれに従う外はない。けれど私はその同じ摂理が別れた者を一度結んでくれる別の次元の世界がどうしてもあるように思われるのだ。私は「あの世」というものを強く要請するようになって来た。
リアルな生活関心に根を持たぬ男女関係は所詮すさびであった。尻切れとんぼに終らざるを得ない。尾道での私の年少の恋の手習いはみなそうした結末になった。またそれでいいのであろう。男女はその感情を操練しつつ成長して行かねばならぬ。