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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
私は叔母に打ち明けた。叔母は顔赤らめて聞いていたが、私が大真面目なのに感動したらしく叔父に話した。叔父は大乗気であった。それは私が遊学をあきらめて、家業を継ぐなら、父の大喜びなのは解り切っているからであった。
叔父が父に話すと父は大賛成であった。そこで叔父は正式に小泉家に申込んだ。
小泉家でこの縁談に首を捻ったのは当然であったといっていい。時子の父母から見れば私はまだ子供だ。その上時子より年下だ。これから勉強盛りの者が今結婚でもあるまい。無理な申し出というよりない。時子の母は確かに私を愛していてくれたが、それだけなお更取り合う気にはなれなかったろう。私は人並みよりずっと坊ちゃんらしかったからだ。
小泉家ではそれでも信仰の上から、厳かにおみくじを引いて見た。するとどうしてもこの縁談は凶であった。小泉家では叮重に謝絶して来た。
もしこの時受諾されていたら私の一生のコースはどうなっていたろう。実に恐るべきは運命である!
こうなってから時子に両親への反撥力の無かったことは、その当時の私には、たまらない幻滅であったけれど、今の私には裁く気はない。事柄自体が無理だったのだ。