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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
がそうしたことも、段々とおかしなことではなくなって、感覚の快楽というものが目ざめて来る。この快楽が独立して来るにしたがって、それは真面目な実感となるとともに、醜いものになって来るのだ。私はこの快楽の独立というものを罪悪の起源と見るものだ。快楽というものを宗教上清浄(ウンシュルド)の敵と考えなくてはならなくなるには強い動機があるのである。
私は義兄の箪笥など掻きまわして、秘帖を見つけた。義兄は絵心があったから、自分で模写したものなどもあった。そうしたものを眺める目も子供の好奇と、いたずら心地と、大人の世界の滑稽味ではなくなって、段々と苦しい悩みをまじえるようなものに移って行った。こうして子供の無邪気さを失い、少年期が初まりかけるのだ。
私が「捨」という犬を病的な愛し方をしたのもこの頃だ。私は田のくろから小犬を拾って来て育てた。捨て子だったからと言うので「捨」と豊子姉が命名した。私はこの犬を溺愛した。いつも抱いたり、頬ずりしたり、何でも買って食べさした。が同時に虐めて見たくてたまらず、倉の中に押し込んで泣くのを、戸の外で胸をドキドキさせながら聞いた。