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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
私のように美に牽かれる傾向がなくて、親切と実行との聖人らしい、清い素質があった。私は少し年が違うので、小さい時はあまり遊ばなかったが、段々とこの人が好きになった。
西村家には清い気風があった。年老ったお父さんは、いつも品よく端坐していられたが、私とは何か通じ合うものがあった。ずっと後まで私を愛していて下さった。
「倉田の百さんが一番いい。いつも道で出逢うと、恭さんはどうしてるとすぐ問いかける。何のわだかまりもない。素直な子だ」
こう言っておられたそうだ。死なれる前ごろ、私が行くと、
「もうわきまえてはいます」
と言葉少なく訴えられた。欠けたお椀で食事したりしていられた。家は傾ききっていた。
恭一君は学問よりも実地がうまく、接木などでも彼がすると皆ついた。
中学時代から酒を飲むと伯父や兄のようになるのが恐いと言って禁酒していた。運動では六百碼の全校一の選手だった。
治国平天下の青雲の志があって、四高へ入っていたが、老父がどうにもならないと言うので、泣いて長崎の医専に転校した。恭一君は家は貧乏になっても、貧乏臭いことが大嫌いであった。決して派手なのではない。