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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
自分は自転車で、ろくに薬礼もよこさない貧乏な百姓家を飛びまわって見てやっているので、一身上のことなどうっちゃってあるのだのに。
それかと思うと、私に宗教論をふきかけた。
「君の説は徹底していないよ。人間が生物を何故食うかと考えるようになったのも、生物を食って進化して来たからだ。その因縁を考えてみたまえ。僕なんか、凝っとこう目を瞑ればそれで解決はもうついている。哲学なんかいらない。僕のさとりはこれだ」
とムキになって言うのであった。私は恭一君のこのさとりには深く動かされた。
こうしたやり方で恭一君は財政的に行きつまってしまった。そして病院と、祖先から伝わった家を売って、庄原を立ち退かねばならなくなってしまった。
それから支那に渡って、今では支那で大きくやっている。
幼ない子供のころにあらわれていた恭一君の個性はやはりそのまま大人になっても同じだ。私は幼な友だちに二十年、三十年、四十年も隔てて逢って見て、依然として昔と同じ個性なのには驚いている。思想や、見解や、境遇はいくら変っても、人間としての質は同じだ。
幼なかったころ、七つで小学校にあがって、十四で中学に入るまでは六、七年に過ぎぬ。