轻松读懂日语经典作品
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いりむこじゅうまんりょう
入婿十万両
山本 周五郎
「婦人倶樂部」大日本雄辯會講談社 、1936(昭和11)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,650 字 · 22 页
疑いは疑いを生んで、いよいよ寒泉の許へ書面を出そうかと思いはじめた、――十一月十九日のことである、家譜を調べて慶長十五年七月の項にかかった時、何を読当てたか急に眸子を輝かして、
「――や、これは」
と低く叫び声をあげた。そのまましばらくは喰入るように記録を読んでいたが、
「これだ、これだ、これに相違ない」
膝を打って云った、「浅二郎の他にこの仕事のできる者はないと云われた、先生のお言葉がこれで初めて分る――そうだ」
生返ったように呟くと、すぐに筆紙の用意をして記録の一部を書写しにかかった。
家譜の中から何を発見したかと云う事は後に分る。半刻ほどして書庫を出た浅二郎は、老職の詰間へ行って靱負に会った。
「どうした、手段がついたか」
靱負は顔を見るなり訊ねた、
「は、どうやらできそうにござります」
「なにできると云うか」
靱負は思わず膝を乗出す、
「してその法は――?」
「改めて申上げるほどの事でもござりませぬ、時が参れば自然とお分り遊ばしましょう、どうぞ私にお任せくださるよう」
「だが――大丈夫であろうな」
「さよう思召しください」
浅二郎の顔には明るい微笑があった。