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ぜんたいしゅぎへのぎんみ
全体主義への吟味
宮本 百合子
今日の民衆、知識人への課題
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,705 字 · 14 页
の主人公のように、自分の一身にそんなにもまざまざと反射している社会矛盾を自覚して、思想的に傾くのも自然である。
多難な運動は、バラの道によって人類を解放させないのである。前衛としての知識人の負う艱苦、犠牲は運動の退潮期には猛烈であるから、一般的敗北の跡の検討ということは、冷静に、確乎性をもって歴史的な眼から行われ難い。船が難破しかかったとき、最後にその船を転覆させて自分たちの命もすてさせてしまうのは、舷の傾いた方へ我を失って塊りすがりつく未訓練な乗客の重量である。その通りのことが生じて来る。批判は発展的にされず、対比的にされる。ああではない、だからこう、と、一方へぐっと傾く。これまで、民衆を指導するなどと考えていたのは烏滸の沙汰である。先ず自分から民衆の一人となって、その日常の内へ入って、しかる後云々ということが、違った形での民衆性へのエキゾチシズム、感傷、自分の意識人としての本質の放棄としてあらわれて来るのである。
「収獲以前」は、上に述べたような作者の知識人としての内的推移の跡を語っている。そして、この特色的な生活態度における方向の放棄の傾向は、最近舟橋聖一氏の「新胎」