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ぜんたいしゅぎへのぎんみ
全体主義への吟味
宮本 百合子
今日の民衆、知識人への課題
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,705 字 · 14 页
、民衆の文化力を語る場合にも見落されない社会的な事実なのである。
全く同じ事実が、知識人の社会的文化的活動についてあらわれている。知識人、インテリゲンツィアというと、知識人自身の間にのこっている習慣的な概括で、合理的な頭脳の活動をもち、学識と広い知的鍛練によって現実を客観的な歴史の真実に於て進歩的に把握し得る人々のように思うが、この概括は必しも現実に即していない。今日の知識人は著しい社会の階級的分化の間に生きている。明治初年から興隆期にかけてのごく短い期間は、日本のインテリゲンツィアも知的進歩性は摩擦少なく興隆する支配力と共にあり得たのであったが、現在では、真実の知性は社会的矛盾を観破し、帰趨を明らかにするが故に、知識人に対しても民衆に対しても、許可すべきものでなくなって来ている。民衆の発展的因子としてひそめられている知的欲求は、そのような前進的欲求のないのが所謂普通の民衆の一般な現実的感情であるという強引な結論と政策によって今日圧殺されているのであるし、知識人の一部は、所謂進歩的といわれる知識人達が求めているような合理性や人間性の自覚とその発露の要求は民衆の心持の日常から遊離した夢、公式であると高唱して、知識人みずから人間的知性の殺滅に動員されつつあるのである。