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やさかにのまがたまこう
八坂瓊之曲玉考
喜田 貞吉
「歴史地理 第六一巻第一号」1933(昭和8)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,858 字 · 26 页
にのみ用いられた文字で、いまだその本義を明かにせぬが、しかしこれまたいずれにしてもわが「タマ」の意をあらわす文字であるとは思われぬ。もしそれ「丸」または「球」などの文字をこれに宛てるに至っては沙汰の限りで、これはただ普通にいわゆる「タマ」の形が丸いがために、会意上からそれを当てたに過ぎぬ。いわゆる飴玉、鉄炮玉、眼球の類で、もちろん古えにいわゆるタマではない。
邦語にタマというは、その形状のいかんを問わず、必要条件としては孔を穿って緒を貫き、身体の装飾に用うるに足るべきものでなければならぬ。もちろん装飾としてこれを使用するものであるがために、普通には研磨して、光沢を生ずべき硬質のものを可とし、したがって「玉」あるいは「珠」のごときものは、その材料としては最も適当なものであるには相違ないが、しかしそれは材料であって、タマそのものではない。もちろん真珠を古くシラタマと称した例はあるが、豊玉姫の歌というものに、「赤玉は緒さへ光れど白玉の、君がよそひし貴くありけり」〔(『古事記』上巻)〕とあるによれば、赤玉も、白玉も、ともに緒に貫いて身のよそいとなしたものであった。