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こうえんのはなとどくが

公園の花と毒蛾

小川 未明

「朝日新聞」1922(大正11)年6月26日~7月10日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 18,574 字 · 38 页

青空文庫

すると、みつばちは手足をたがいにこすりあいながら、

「農産物の展覧会があるのですよ。花の咲いている時分は、私も広い圃から、圃を渡って飛び歩いたものです。なにしろ、二里も先まで、いったのですからね。それが、日数がたつにつれて、それらの野菜は、太い根を持ったり、また、まるまると肥えたり、大粒に実ったりしましたからね。大根や、ねぎや、豆や、芋などを昨日から、近在の百姓だちが会場に持ち込んでいますよ。そして、一等と二等とは、たいした賞品がもらえるということです。」と、みつばちは答えました。

ほんとうに、公園はいろいろの人たちでにぎわっていました。あちらから楽隊の鳴らしている楽器の音が、風に送られて聞こえてきたり、また、歌をうたっている声が聞こえてきたりしました。

この日、白髪のおばあさんが、農産物展覧会場へあらわれました。

おばあさんは、なにも農産物に興味をもったわけではありません。場末の町に住んでいるのだけれど、用事があって、こちらの知った人のところへやってきますと、その人の家で、展覧会のある話を聞きました。

「大根でも、なすでも、芋でも、なんでもよくできたものには、一等、二等と礼がついて賞が出る。