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かんこんそうさいはかせ

冠婚葬祭博士

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1937(昭和12)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,762 字 · 30 页

青空文庫

「何て?」

「そこまでは聞かなかったが、女性を侮辱するような息子を生んだからだろう」

或日、団さんが態僕の席へ来て、晩餐招待の口上を述べた。大谷君も清水君も手近にいたけれど、僕一人が案内を受けたのだった。

「宮崎君、イヨ/\始まるんだ」

と言って、清水君が期待した。この男は昨今意地になって、是が非でも僕に結婚させようと努めている。僕も口先では強いことを言っているが、実はもうソロ/\何とかして貰いたい。その初め団さんは世話をしてやると言ったのである。

団さんのところへは今までも度々招かれたが、いつも大谷君か清水君が一緒だった。然るにその晩は僕一人だったから、或は話が始まるのかと思った。

「宮崎さん、長々お世話になりましたが、主人はもうやめるんでございますよ」

と奥さんがお給仕をしながら、淋しそうに言った。

「はゝあ?」

「やめるんだよ。君」

と団さんが頷いた。

「しかし未だ宜いんでしょう」

「いや、惜しまれている中にやめるのが花です。冠婚葬祭博士、余り香しい地位じゃありません」

「…………」

「皆、僕のことを先生と呼びます。陰で博士と呼んでいるものもあります」

「…………」