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かんこんそうさいはかせ

冠婚葬祭博士

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1937(昭和12)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,762 字 · 30 页

青空文庫

日本で何人という名校長だぜ。師の恩を忘れさせないのだから、あすこに光っているのは僕に取って頗る教訓的な頭だ」

と大谷君が感想を洩らした。

「兎に角、偉大な頭だよ。内容から言っても、外形から言っても」

と清水君が合槌を打った。この二人は兎角意見を持っていて、一番よく喋る。

「大きさも似ているが、矢張り禿げていて、斑があるんだ。それが地図に似ているものだから、東半球という綽名がついていた。小学生も馬鹿にならない。大東という苗字だったから、そこを利かせたんだ。それから小使の爺さんが禿げていた。此奴も斑だらけだったから、校長の東に対して、西半球とつけた」

「君がつけたのかい?」

と訊くものがあった。

「いや、僕の知らない昔からだ。僕は全校切っての模範児童だったから、東半球なんて言う奴等があると、片っ端から取っ捉まえて、教員室へ引っ張って行ったものだ」

「嘘をつけ」

「本当だよ。優等だとか全校代表だとかいって、その頃辞令を貰い過ぎたものだから、昨今は一向お沙汰がない」

「何だい? 変なところで不平を言っていらあ」

「人格の高い名校長だったよ。禿げているのが頭に疵さ」

「洒落かい? それでも」