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ふゆをこすつぼみ
冬を越す蕾
宮本 百合子
「文芸」1934(昭和9)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,898 字 · 14 页
そういう情勢であるからこそ、いわばかつて個人的な作家的自負で立っていた時代のプロレタリア作家が、心理的支柱を見失って転落する必然があるのであろうか。
それにしろ、日本のインテリゲンチアが特殊な歴史的重荷をもっていることは争えない事実であると思う。おくれた資本主義国として、半封建のまま忽ち帝国主義に発達するテンポの早い歴史は、日本のインテリゲンチアに敏捷な適応性を賦与していると同時に、勤労大衆の日常生活をきわめて低い水準にとどめている封建的圧力そのものが、インテリゲンチアの精神にもきびしく暗黙の作用を及ぼしている。
中途半端に蔕からくさって落ちた自由主義の歴史に煩わされて、日本のインテリゲンチアは、十九世紀初頭の政治的変転を経たフランスのインテリゲンチアとは同じでない。対立する力に対して、人間の理性の到達点を静にしかし強固に守りとおし、その任務を歴史の推進のために光栄あるものと感じ得る知識人らしい知識人さえも、日本においては数が少いのである。
無理がとおれば道理がひっこむ、といういろは歌留多の悲しい昔ながらの物わかりよさが、感傷をともなった受動性・屈伏性として、急進的な大衆の胸の底にも微妙な形に寄生している。