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ふゆをこすつぼみ

冬を越す蕾

宮本 百合子

「文芸」1934(昭和9)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,898 字 · 14 页

青空文庫

を呼びおこされたのであった。

ブルジョア・インテリゲンチアの作家でもロマン・ローランやジイドは老いてますます叡智と洞察とをひろめ、恐れを克服し、人生の真理に肉迫して行っている。それと対照して、日本の大作家は壮年期の終りにもう「描写など面倒くさくなり」(谷崎)知的発展においては勇気を失い、隠居をしてしまうのは、(窪川の言葉を借りれば)自己の喪失に陥るのはどういうものであろう。日本でいう大作家の風格というものの内容は、古い文人時代の内容から、社会性においてそう大して新しくなっていると思われないのである。あのような文学的発足をした谷崎氏にあってそうであるとすれば、その他の日本の代表的ブルジョア作家が、はたしてどの程度にインテリゲンチアとして今日の封建性に対する筋骨の剛さを実際力として備えているか、疑わしいと思う。

大宅氏は、『文芸』の論文で腹立たしげな口ぶりをもって、「日本の文化全体を支配している安価な適応性の一つ」として転向の風に颯爽と反抗するプロレタリア作家の見えないことを痛憤している。階級的立場のはっきりした人物は、今日、加藤勘十が見得を切っているような風にはふるまえない。