轻松读懂日语经典作品
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こおるアラベスク
凍るアラベスク
妹尾 アキ夫
「新青年」博文館、1928(昭和3)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,278 字 · 20 页
そして尾張町の角を曲ると、一直線に有楽町の停車場の方へ向かった。
もはや彼女は黒い外套の男が、自分の跡をつけていることを疑わなかった。けれども何が目的で跡をつけるのであろう。一体彼は誰であろうか。掏摸とも見えなければ、不良青年とも見えず、それかと云って、今まで何処かで会ったような記憶もなかった。年のころは三十から四十までと云うことは解っても、確かには判断できなかった。勝子はもう一度振返って見ようかと思ったが、その男の視線とぶつかるのが嫌だったので、振向かずに歩いた。
だが、橋を渡って停車場の前まで来ると、とうとう男が追いついて、慇懃に帽子をとって、
「失礼ですが、ちょっとお話がしたいのですが」
勝子は男の態度が意外に丁寧だったので、やや安堵して立止ってしげしげその顔を見守った。鋭い感受性を表したような高いととのった鼻、死人のように蒼白い皮膚の色、潤ってぎらぎら光る眸には、臆病さとともに異常な精神力が輝いて誰でも一目見たら忘れられぬ顔であった。
「あなたはどなたですか?」
こう勝子が訊いた。
すると男はどう切り出していいか迷っているらしく、暫らく黙っていたが、落着きのないおどおどした調子で、