轻松读懂日语经典作品
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はつつぼみ
初蕾
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1947(昭和22)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,525 字 · 35 页
ようすの変ったのはその後のことだったが、彼の蔵書はその筆記類といっしょに、行李に納めて持って来たのだった。……あの出来事があってから、「半之助のことは決して口にするな」と云われていた。書物の行李をあけるということから、良人は恐らく、半之助のことを思いだしたのであろう、心づかぬことを口にしたと思い、はま女はそっと良人の側から離れた。
霜月になったが、例年より暖かい日が続き、中旬すぎてから初めて霜をみた。その夜のことである。久しぶりに少量の酒を呑んだので、良左衛門は宵のうちに寝床へはいり、はま女が独り燈をひき寄せて解き物をしていた。すると九時頃だったろうか、良人が呼ぶのでいってみると、表へ人が来ているのではないかと訊いた。
「さっきから赤児の声がするようだが」
「心づきませんでしたが、見てまいりましょう」
こんな時刻に来る者もなかろう、そう思いながら、手燭に火をうつし出してみた。門ぐちには人のいるようすはなかったが、どこかで赤児のぐずり泣きの声が聞える、はま女は外へ出て、手燭をあげながらあたりを見まわした。玄関をかこうように網代の袖垣がある、その垣の下に厚い布子絆纒でくるんだ赤児とかなり嵩張った包みとが置かれてあった。