轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
わかれのじ
別れの辞
豊島 与志雄
「中央公論」1935(昭和10)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,330 字 · 37 页
「呆れた人たちだ。」と野口はまたいった。「まるでヒステリーだ。」
「ええ、ヒステリーでしょうよ。」
おけいはしゃくりあげると同時に、屈みこんで、長尾の肩に顔を伏せた。
二人の芸者は眼を見張っていた。
そしてそのまま、潮が引くように、その場は納ったのであるが、そうした情景の底に、捉え難い不安が濃く淀んでいたのである。私はその責を誰にも何物にも着せようとは思わない。ただ、こうした時間を費してる私達の生活の、底をかき廻されたものだとしたい。淋しい酒宴になっていった。冗談口も冴えなかった。私達は無理にも酔おうとした。それから、二人の芸者をひっぱって、また席をかえて飲んだ。おけいはむっつりついて来た。宮崎と清子とが、知らん顔をして酒をのみ続けていた。
その晩、各自にどうなったかは私の知るところでないが、翌日、「笹本」の二階で、昏々と眠り続けてる宮崎の枕頭に、清子は、根のぬけた乱れ髪のまま、血の気を失った顔で、じっと坐っていた。その耳の下の方に、物にぶっつけた紫色の斑点があった。おけいは、眉間の皺を深く刻んで、よけいな口は一言も利くまいと決心してるかのようだった。