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「しせいさつじんじけん」をひょうす
「刺青殺人事件」を評す
「宝石 第四巻第一号」1949(昭和24)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,564 字 · 8 页
江戸川君ら、探偵小説界は外国礼讃であるが、外国の探偵小説で、乱作して読ませる作家は、クリスチィ、クイーンぐらいで、あとはもう、バカらしくて読むに堪えないものばかり。先日、カーを読んでいったい、江戸川君は、なんだって、こんなツジツマの合わない非論理的な頭脳をほめるのか、呆れたものだ。その点、横溝君は、蝶々、獄門島、その他、どの長篇を読んでも、読ませもするし、破綻も少く、外国にも、これだけの本格探偵作家は、めったに見当らないものなのである。
刺青殺人事件は、江戸川君の批評は全然ダメ、あの批評の完全なる反対が正しく、江戸川君の良いといってるところが悪く、悪いといってるところが良い。前半がよくて、後半は落第である。
なぜ密室にする必要があったか。密室にするには、トリックを仕掛けるに、時間を要し、その室に通暁することを要し、犯人がその家の住人であることを、ほゞ確定させてしまう。犯人を却って分らせるばかりで、必然性がなく、ナンセンスである。
女から包みを渡され、女が殺され、包みをひらいて刺青した三人の写真が現れた時には、もう犯人は分ってしまう。このトリックはあまり幼稚すぎる。