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こくこく

刻々

宮本 百合子

「中央公論」1951(昭和26)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页

青空文庫

「わかりますか? え? よく聞いて下さい」

もう一遍、朗吟して、

「この気持だ。――え?」

満州侵略戦争とそのためのひどい収奪のことも、その戦争の命令者である〔二字伏字〕のことも、人民は見ざる、聞かざる、云わざる、奴隷として搾られ、そして死ねというわけである。これは理性ある人間にとって不可能なことである。憤りと憎悪とが凍った雪を踏むようにキシ、キシと音をたてて身内に軋むのを感じる。――

調べの始ったのは午前十一時前であった。今は夕方の六時だ。自分は憎しみによって一層根気づよくなり腰をおとさず揉み合っている。日本共産党をどう考えるかというようなことである。

自分は、日本共産党は飽くまでも一つの政党であると云った。合法、非合法はその国の状態によるのであって、決して共産党そのものの本質的属性ではない。清水は、「日本共産党は非合法の秘密結社でアリマシテ云々」と他の誰かの調書にあるとおり、口授を承認させようとするのである。又、「働く婦人」が共産党の宣伝の道具であるというデマゴギーをも押しつけようとした。清水は綴じあわせたケイ紙を見せ、

「しかし、これを御覧なさい、『大衆の友』