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こくこく

刻々

宮本 百合子

「中央公論」1951(昭和26)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页

青空文庫

はちゃんとそうであると言明していますよ」

「そう云った人があるのなら、なお更口真似は出来ない。『働く婦人』の投書だとかそのほか書いてあることが、あなた方から見て共産党の云うところと一致しているのなら、それは、それだけ共産党というものが大衆の真の考え、要求をとりあげていると云うことになります。元は、共産党にあるのではなく、大衆の実際の生活とそこから浸み出す要求にあるのだ」

夜、九時をすぎて、やっと終った。自分は編輯責任者として尊厳冒涜という条項に該当するのだそうである。時刻が時刻なのですっかり腹がすき、自分が激しい食慾で弁当をたべているむかい側で清水は何も食べず、煙草をふかしている。そして自分は女房には絶対服従を要求しているが、工合がわるいと云えば直ぐ医者にやるしなどということを尤もらしく云っている。彼の表情が次第に変った。四角い顔の半面が攣れていたようなのは消え、赤味も減り、蒼白く無表情に索漠とした顔つきである。肩つきまで下った。カサのない電燈の黄色っぽい光がその顔を正面から照りつけている。冷たい茶を啜り、自分はなお弁当をたべつづけた。――

三