轻松读懂日语经典作品
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けんきょう
剣侠
国枝 史郎
「山形新聞」1936(昭和11)年3月~8月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 156,961 字 · 310 页
……そうでなくてさえ俺と彼奴とは、早晩腕づくで争わなけりゃアならねえ。そういう立場に立っている。ヨーシそれではこの機会に……)
折柄三番鶏の啼声がし、夜がそろそろ明けかけた。
(よし)と林蔵は立ち上り、身仕度をすると階下に下りた。
寝ずの番の若衆が土間にいたが。
「これは親分、もうお帰りで」
「うん、わしは、これから帰るが、連れの二人はまだ寝ている、起こさずにそのままにして置いてくれ」
「へい、よろしゅうございます」
潜戸から林蔵は外へ出た。
暁の霧が立っていて、宿の家々は薄れてい、往来を歩く人影も少なく、家々の戸はとざされていた。林蔵は朝風に鬢を吹かせ、寝臭くなっている躰の汗を一度に肌から引き込ませ、足早に往来を歩いて行った。宿を出ると街道で、野良が四方に展けてい、林や森や耕地があった。左へ行けば赤尾村、右へ行けば高萩村、双方へ行ける分岐点、そこに六地蔵が立っていて、木立がこんもり茂っていた。そこまで行くと立ち止まり、林蔵はしばらく考えたが、やがて木立の陰へ隠れた。
次第に時が経って行く。
やがて空が水色に色づき、それが次第に紅味ざし、小鳥が八方で啼き出した。