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げきのすきなこどもたちへ

劇の好きな子供たちへ

岸田 国士

「少年少女 第三巻第三号 別冊付録『劇の読本』」1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,550 字 · 15 页

青空文庫

4 俳優はいやしいものであってはならない

4 俳優はいやしいものであってはならない

即興とは、前もって考えたり、おぼえたり、練習したりしないで、いきなり出たとこ勝負で作りだすものをいうのである。

劇にも、前にいったような場合を別にして、あらかじめ脚本を土台にして稽古をしたのでなく、舞台に出るときに、はじめて役があたえられ、それぞれの人物は舞台の上で、たがいに勝手なことをしゃべり、そうしながら、だんだんに話の筋をとおしていくという特別なやり方がある。これを即興劇という。

子供の劇も、いい脚本があれば、それをちゃんと上演するのもよいが、すこし年かさの子供は、たまには、この即興劇をやってみるのも面白いと思う。これはこれとして面白いばかりでなく、あたり前の劇をやるための、たいへん役にたつ勉強である。

ただのとんちくらべのようになることもあるが、それだけでもむろん面白いだろうけれども、劇はあくまでも劇なのであるから、たがいにとんちをきそいながら、一方でたがいに役の関係をはっきりさせあい、場面としてのまとまりを、うまくつける努力をみんながしなければならない。

そこには、おかしいあぶなかしさがあり、思いがけない詩的な空想のひらめきがあり、ずばりと真実のまとにあたることがあり、とんちんかんのとぼけた味わいがあるのである。