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すけごろうよざい
助五郎余罪
牧 逸馬
「探偵趣味」1926(大正15)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,407 字 · 15 页
「誰でもええやな」
助五郎は空を仰いで笑った。が、直ぐ、
「家元、大薩摩紛えのあの調子で、一体何処が引っ切れたのか、そいつがあっしにゃ合点が行かねえ」
「へっへ、御尤もで」望月は伴れの人柄をもう読んだらしく苦しそうに扇子を使いながら、
「へえ、切れやしたの何のって、へっへ、先ずあの」と一つ咳払いをして、「里の初あけのほだされやすくたれにひと筆雁のって、そのかりいので、へっへ、ぶつりとね、へえ、雷門の糸が――どうも嫌な顔をしましてな」
「それゃそうだろう」
「それからまあ高調子でどうやらこうやらずうっと押して行きやしたがな、二上りへ変って、やぶうの――う、うぐう――いいす、のとこで又遣りやした。へっへ、それからのべつに」
「切れたのけえ」
「へえ」
「笛は?」
「御存じでげしょう」
「乗物町か」
「へえ」
「何故入れた?」
「他にござんせん」
「うん、して和泉屋の咽喉は?」
「お眼がお高い――へっへ、あれからこっち円潰れでさあ、いや、本心」
それを聞くと助五郎はくるりと踵を廻らして、元来た方へすたすた歩き出した。喫驚して後見送っている望月を振り返りもせずに――。
「こりゃ乗物町の細工が利いたて」