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どうりょくかくめいとにほんのかがくしゃ
動力革命と日本の科学者
中谷 宇吉郎
「文藝春秋」文藝春秋新社、1955(昭和30)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,399 字 · 27 页
原子力発電に反対される人の中には、「八十歳の老実業家に、原子力のことなどわかるはずがない」と言われる方があるかもしれない。そのとおりだと思うが、しかしそれはわからなくてもよいのである。
今日既に原子炉は、葉書一枚出して註文すれば、ちゃんと造って納入してくれるところまで、世の中は進んでいる。もう二、三年もしたら、原子力発電所も、註文書一通で、出来ることになるかもしれない。電力会社の社長に、モーターの修理ができなくても、ちっともかまわないので、すべて分業の世の中である。
一寸お断わりしておくが、私は原子炉問題を葉書一本で片付けたらいいとは、決して言っていない。外国に安くて良い自動車があっても、その輸入は禁止して、国産自動車を奨励しなければならない場合もあるからである。
新しいエネルギーが発見され、それが実用化されるようになれば、好むと好まざるとに拘らず、それは旧いエネルギーにとってかわってくる。人間界の中にある一種の自然現象であって、如何とも致し難い。そういうことを、頭で考えることは、科学者にもできる。しかしこの真理を身体で感得して、行為として実践することは、科学者には不向きである。