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どうりょくかくめいとにほんのかがくしゃ

動力革命と日本の科学者

中谷 宇吉郎

「文藝春秋」文藝春秋新社、1955(昭和30)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,399 字 · 27 页

青空文庫

四 国情に即するということ

場違いの話であるからである。明治時代における最大の電気学者といえば、マックスウェルの電磁気学を導入された長岡半太郎先生がまず挙げられよう。しかし日本で水力電気を起こすのに、長岡先生を煩わす必要はなかったし、また頼んでも先生にはできなかったであろう。

もっとも科学者の中にも、実践的な能力をもっている人があり、そういう人が、こういう問題に乗り出されることは、大いに結構である。しかしその場合は科学者としてよりも、むしろその人の中にある行動人の要素が、大きい役割を演ずるのである。

四 国情に即するということ

動力源は、国家の摂取カロリーであって、このカロリーが不足すれば、国家は餓死してしまう。ところで現在の日本にとって、一番憂うべきことは、近い将来における動力源の不足である。水資源そのものには、日本は著しく恵まれているが、その開発には莫大な資本がかかる。終戦以来、いわゆる電源開発はかなり進行しているが、電源を開発すればするほど、電気代は値上げになる。

十年先の日本を考えるならば、どうしても新しい動力源に目をつけなければならない。十年くらいは、まごまごしていれば、すぐ経ってしまう。