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どうりょくかくめいとにほんのかがくしゃ

動力革命と日本の科学者

中谷 宇吉郎

「文藝春秋」文藝春秋新社、1955(昭和30)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,399 字 · 27 页

青空文庫

単に盲点として残されているとしても、あまりに話が可笑しい。ダム建設による総合開発熱が嵩じて、一種の流行性熱病になっていた、というふうなことも考えられなくはない。そういう状態では、すぐ脚下にある問題が、つい見逃され易い。火力発電設備の近代化によって、ダム建設に要する多額の資本を、一部だけ節約する。水火の配分は、経済的に最も有利な割合にする。それが今度の新構想であるらしい。

そうだとすると、もしこの構想が採り上げられ、計画どおりの成果が納められたとしたら、まことに妙なことになる。民族の死命を制する動力源問題の中でも、一番重要な課題である電力問題の解決は、科学には理解のないはずの実業家によって成就され、科学者は無関心でいた、というふうな形に、少なくとも結果としてはなってしまう。しかしそれでも結構なのであって、要するに民族の生きる道さえ開ければよいのである。

もっともこの案の作成には、多くの科学者及び技術者の協力があったにちがいない。しかしその協力は、具体的な知識の供給であって、この頃問題になっている、原子力の場合における「科学者の発言」とは、性質が大分違っている。