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どうりょくかくめいとにほんのかがくしゃ

動力革命と日本の科学者

中谷 宇吉郎

「文藝春秋」文藝春秋新社、1955(昭和30)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,399 字 · 27 页

青空文庫

火力発電の面に石炭の需要が増せば、炭山はやや息を吹き返す形になるであろう。当分の間は、それで、石炭の面からいっても、この案は歓迎すべきである。

現在の貯炭量の激増は、一時的の現象であって、それをもとにして考えられないことは、もちろんである。しかしこういう問題は、電力だけを切り離しては論ぜられないので、石炭の増産およびコストの低下についても、電力の場合に払ったのと、同じ考慮を払わなければならない。現在の日本の採炭の非能率は、既に定評がある。炭坑労務者一人あたりの月採炭量は、一二トン以下と言われている。アメリカはもちろんのこと、ドイツでも、月採炭量は二〇トンを越えている。これほどの差があるならば、増産の見込みは充分あるはずである。

さらにもっと永い将来にわたっての見通しはどうかということになると、どうしても原子力発電の問題がはいってくる。現在のところは、学界の一部に反対もあるようであるが、文明の動きというものは、自然法則であって、遅かれ早かれ、日本も原子力時代の国家群の中にはいるに違いない。

それが案外早かったら、これから築造する新鋭火力発電施設が、無駄になりはしないか、という心配も出るかもしれない。