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どうりょくかくめいとにほんのかがくしゃ

動力革命と日本の科学者

中谷 宇吉郎

「文藝春秋」文藝春秋新社、1955(昭和30)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,399 字 · 27 页

青空文庫

例えば、水力電気とか、鉄道とかいうものが、その例である。

鉄道は、一時大分評判が悪かったが、狭軌という不利な制約の下に、著しく過重な輸送を強要されている点は、認めなければならない。それでいて、時間の正確な点、及び運賃の低廉な点では、欧米諸国に類を見ないようである。アメリカのディーゼル電気機関車だの、ジュラルミンの車輛だの、時速九十マイル(つばめの約二倍)だのという話だけで、日本の鉄道と、アメリカの鉄道とを比較するのは、半面だけを見た議論である。

シカゴの郊外を走っている「省線」は、なるほど速いし座席もよいが、その代り八王子・東京間くらいの距離で、片道運賃が一ドル十セント(約四百円)である。アメリカ人は収入が多いから、それでもよいが、われわれには、今の汽車賃でも高過ぎることは事実である。しかしそのことと、汽車賃が非常に安いこととは、別の問題である。原材料の鉄でも、石炭でも、電力でも、日本は決してそう安くはないからである。それでいて、運賃が四分の一以下で、とにかくちゃんと走っているのであるから、或る意味では、アメリカよりも進んでいると強弁できないこともない。