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ほくりくのみんか
北陸の民家
中谷 宇吉郎
「日本の民家第八回月報」美術出版社、1959(昭和34)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,402 字 · 3 页
鼠色に古びたまさと、同じような色の石との配合が、長い冬の間を雪の下で暮らす、北陸の人々のひっそりとした生活をあらわしている。
中流以上の家になって、初めて瓦がふける。北陸の民家で美しいものは、この瓦である。雪の滑りをよくするためと、水がしみて凍ると瓦がこわれるので、うわぐすりのかかった瓦を使う。北陸の美しさは、瓦にあるといわれるが、あの瓦と同じ系統のものである。夕日に輝やくこの瓦は、非常に美しい。
金沢ぐらいの街になると、瓦ばかりでなく、屋根自身も、美しい姿をしている。兼六公園から浅野川の方面を見下ろした眺めを、日本一の美しい街と激賞している友人もある。屋根の美しさであって、ごく普通の日本建築であるが、その本格的なものである。桂離宮や東照宮の話は別として、ごく当り前の日本建築で、その本格的なものを探すとしたら、案外北陸の民家の中に、見つかるかもしれない。
(昭和三十五年十一月)