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じゅうねんのおもいで
十年の思い出
宮本 百合子
「文章倶楽部」1926(大正15)年8月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,123 字 · 7 页
最近二三、顔を出しましたけれど、私は余り会合などに出る方ではありません。大概どこの会でも男の方と、女の方とがすっかり別々にかたまり合ってお話していて、そのどちらかへ一人でも男の方か、女の方かが入ってくると、妙に取澄ましてしまうという風で、実際変に窮屈な気ばかりして、つい出席することが嫌になるからです。もっとああいう場合、男と女とが、自由な気持で話の交換ができたらといつでも思います。単に会合というような機会だけに限らず、お互が心置きなく雑談できるような小さいグループもできれば結構だと思います。私など小説を書いているというだけで、文壇的な交際というものは殆んどありません。女の人では野上さんとか、網野さんとかいう方がありますけれど、そして、私が強いて求めない気持もありますけれど、男の方としては一人もないといっていいと思います。
旅行は大好きですからよく一人で出かけます。ずっと以前、まだ結婚しない時分はたびたびしましたけれど、やはり家庭を持っていた時は何彼につけて不自由で、つい余り出ませんでしたが、この頃はまた時々、参ります。先日も九州まで行ってきましたが、旅の楽しさはまた格別です。