轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちよこ(さん)

千世子(三)

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第二十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年11月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,906 字 · 54 页

青空文庫

「そうだねえ、どうって別に――

肇は煮えきらない返事をした。

「あの女はどう思ったえ――

一寸見た時どんなだと思ったね。

「そうさねえ、

そんな事君一体はっきり云えるもんじゃないよ。

改まった口調で肇は云って瓦斯燈を見あげてしかめっつらをした。

「いやじゃあなかったろう、

今度っきり始めての最後にする気はないだろう。

篤は肇の肩を抱える様にして云った。

「でもね、

あの女はほんとうに感情家で我ままで御天気屋なんだよ。

そして――

肇は何とも云わずにひろびろと横わって居る淋しい町を見て居た。

「あの人はね、

だれでも若い者がきらいになれない人だよ。

すてきな顔つきでも姿でもありゃあしないけれど。

それにねあの人は音楽も少しは出来る――

篤はまとまりのつかない事をつづけて云った。

「でも僕はまだそんなに感じを受けて居やしない、

何にしろ初めて会った人だからねえ。

この次行く気んなったらまた一緒に行こうねえ。

肇は千世子の額と一風変った髪形を思い出して居た。そして筒の中からの様な声でこんな返事をした。

暗い通りを横ぎると見えないポールのさきから青白い火花を散らして電車が一台走って行った。