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なんぼくアルプスつうせつ

南北アルプス通説

木暮 理太郎

「日本アルプス」1930(昭和5)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,372 字 · 11 页

青空文庫

これ立山連峰が槍、穂高に比して標高は却って劣りながら、積雪量において遥にこれを凌駕する所以である。かの劒沢の如き小黒部谷の如き、または白馬の杓子大沢の如き、孰れも七月下旬乃至八月上旬において、なお延長二粁以上の大雪渓を成し、その他一粁前後のものに至っては、十指を屈するも足らない程に多いのである。南アルプスは立山はさて措き、槍、穂高に比してさえ一層不利なる位置にあるので、積雪量の少いことは元よりいうまでもない。六月上旬の頃、見た目には北アルプスの七月下旬における残雪量と大差なき如くに思われる時でも、実際の量はずっと少いものらしく、それに緯度の低い関係もあるので、梅雨の明けた七月小暑の頃となれば、心あての雪は大方消え失せて、ここの峰頂かしこの渓間に点々として散在するに過ぎないことを知るであろう。白峰北岳の大樺谷もしくは間ノ岳頂上北方の斜面などは、恐らく南アルプスにあっては最多量の残雪を貯蔵する場所であろうが、二〇〇〇米に足らぬ上越界の山にもこれに優るものは尠くないのである。所詮雪量においては、夏冬を通じて南アルプスは北アルプスの敵ではない。

かく残雪の少いことは、また山の上に池や水の流れる小溝などの少い基となっている。