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げんしばくだんざつわ
原子爆弾雑話
中谷 宇吉郎
「文藝春秋」1945(昭和20)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,907 字 · 14 页
と並べてみて、その順序をつけるのは、勿論人間の頭の中でのことである。ところが本当にその順序の通りが実現するところに、自然科学の恐ろしさがあるのである。
この短文を書いた頃の二、三年前、私は二、三の国防関係の要路の人に会った時に、こういう意味のことを話したことがある。勿論我国でもこの時代に既に理研の仁科博士の下や、阪大の菊池教授の所で、原子物理学関係の実験が開始されていたので、そういう方面からも進言があったことであろう。しかし何十年か先のことで、しかも果して兵器として実用化されるかどうかもまるで見当のつかない話を、本気で取り上げてくれる人はなかった。やれば出来るに決っていることをやるのを研究と称することになっていた我国の習慣では、それも致し方ないことであった。
ところが、当時海軍の某研究所長であった或る将官が、真面目にこの問題に興味を持たれて、一つ自分の研究所でそれに着手してみたいがという相談があった。理研や阪大の方に立派なその方面の専門家が沢山おられるのに、何も私などが出る必要はないのであるが、話をした責任上とにかく相談にはあずかることになった。