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はんこう
反抗
豊島 与志雄
「国民新聞」1921(大正10)年8月4日~11月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,121 字 · 282 页
いつもこてこてと髪をなでつけて、金口の煙草を吹かしていた。
周平は竹内とお清との間について、我にもない一種の反感の念から、一寸好奇心をそそられた。蓬莱亭から出て帰り途で、彼は竹内に尋ねた。
「君はあの家へ屡々行くんですか。」
「なぜ?」
「だいぶ女中達と懇意なようだから。」
竹内が何か云おうとしてるまに、他の者がくすりと笑った。それで竹内はあははと大声に笑い出した。
周平は変にすっぽかされた気持になった。
やがて竹内は、吸いさしの煙草を強く地面に抛りつけて、ぱっと散る火の粉を見やりながら云った。
「懇意はよかったな。何とかで……虐待されて懇意かな、下手な川柳にでもありそうだ。」そして彼は急に周平の方を向いた。「君は又いやに水を向けられてたじゃないか……あのお清にさ。だがあんなのは止し給え。女中頭って格で威張りくさってるが、年齢の功で威張るのは、余り威張り栄がするもんでもないからな」
「だって、なしのつぶてよりはまだいいや。」と誰かがまぜっ返した。
「なあに、此奴は石のつぶての方さ。」
周平にはその意味が分らなかった。然しそうなると、何となく気がさして尋ねにくくなった。