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おじ
叔父
豊島 与志雄
「改造」1925(大正14)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,585 字 · 24 页
」
「じゃ聞いて下すって。」
「まあそれからのことさ。明日の晩はどうだね。」
「ええ。」
中野さんは改めて葉巻に火をつけて、ぱっぱっと吹かした。
俺は改めてゆっくり彼奴の顔を見直してやらなければ……喜代子のために。
そんな風な考え方をしながら、中野さんはいつもより長く晩酌の餉台に向っていた。
前夜の雪が降り積って、しいんとした寒い晩だった。子供達はあちらの室で炬燵にもぐり込んでいた。
笹部と喜代子とがやって来た時、中野さんはまだ晩酌を続けていた。二人をその席に通さした。
「こんどは大変相すみませんことをお願いしまして……。」
別に悪びれた風もなくそう云って、笹部は落付いて座に就いた。
中野さんはもう少し酔が廻りかけていた。女中に何かつまみ物を云いつけて、すぐに笹部へ杯をさした。
「寒いところを御苦労でしたね。まあ一杯やって温ったらどうです。」
笹部はこの前と同じ手付で杯を受けて、ぐっと一息に干した。それから、よく利かない箸先で小皿のものをつまんだ。
相変らず大きな手先だ。
そして中野さんは彼の顔をじろじろ見調べてみた。よく整った顔立ではあったが、やはり全体が醜い感じだった。