轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふるきミニエチュア

古き小画

宮本 百合子

「小樽新聞」1924(大正13)年1月14日~3月9日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,298 字 · 140 页

青空文庫

……云って下さるでしょう? 今日迄持ち堪えたら、母上の義務はすんでいるでしょう?」

スーラーブは、なにか黎明の日の光に似た歓ばしい期待が、そろそろ心を溶かすのを感じた。胸の中では「吉報! 吉報!」と子供らしい叫びをあげて動悸が打つ。彼は、単純に云った。

「父上は、どうされたのです? とにかく愧(は)ずべき人間でないのだけは確かですね」

しかし、母は、彼の亢奮をともにせず、一時に甦って来た過去の追想に包まれきったように打沈んで見える。彼は、同情を感じた。

そして、自分も地味な心持になり方法を変えた。

「こうしようではありませんか、母上。今迄隠して置かれたのには何か深い訳があったのだろうから――私が、ききたいことだけを問(たず)ねましょう。簡単にそれに答えて下さい」

九

何から先に問(たず)ねるべきなのか、スーラーブが手がかりを求めているうちに、ターミナは、俯向(うつむ)いていた頭を擡(もた)げた。そして、低声に然し、はっきり云った。

「それには及びません。私が話しましょう。卿がこの飾りに目をつけた時に、ああ、到頭今日こそは、と思いました。今日これをつけていたのは……」