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ふるきミニエチュア

古き小画

宮本 百合子

「小樽新聞」1924(大正13)年1月14日~3月9日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,298 字 · 140 页

青空文庫

幾年ぶりかで城の広場に武具が輝き、馬の嘶(いななき)や、輜重(しちょう)をつみ込む騒ぎが、四辺に溌溂とした活気を撒いた。

ルスタムは、その間を彼方此方に歩いて指図したが、彼は、ふと妙な心持に打たれることが屡々あった。どうかしたはずみに、この夥しい騾馬(らば)の群、血気熾な男達をつれて自分は何処へ行くのかと思うと、行手は、まるで見知らぬ国の霞の中にでも消えているように杳(はる)かな、当のない心持がするのであった。

それに気がつくと、ルスタムは私に愕いた。老耄の徴だろうか? 彼は、あんな遠い奇怪なアザンデランに出かける時でさえ、数年前の自分は確信と勇気に満ちていたことを思い出した。

二十七

何方から云っても、ルスタムの出発は地味なものであった。彼はギーウが帰えってから五日目の払暁、静にシスタンの城を立った。二日の間、北へ北へと、砂漠のふちを進み三日目の夕暮、ツスから真直に間道を突切って来た王の全軍と合した。

カイ・カーウスは、派手な銀飾りのついた甲冑をつけ、逞しいイラン種の馬に跨って、軍列の中央に騎っていた。彼は、絶間なく傍の者と喋った。