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ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
「小樽新聞」1924(大正13)年1月14日~3月9日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,298 字 · 140 页
やがて集団が少し解ぐれ、一人一人の椅子が見えるようになると、ルスタムは、思わず、二三歩馬を騎り出した。この群の中に、確にギーウの話した若者らしい兜を戴いた者がいた。兜を戴いた戦士は独りだけもとの場所を動かず、時々キラリ、キラリと鋭く兜のはちを西日に煌めかせながら熱心にイラン方を観察していた。
二十八
間もなく、その兜の戦士は、手を上げて、散りぢりになりかけた他の将等を呼んだ。彼の囲りには再び小さい集団が出来た。そして改めて何か、探しでもするように方向を更え、イラン勢を展望し始めた。
ルスタムは、遙彼方に小さく見えるそれ等の敵の行動から、何か重大な、意義ありげな一種の感銘を受けた。兜の男の一挙一動は皆それぞれ意味のあるもので、彼自身が此方でこうやって視、感じ、考えていると同じ心が籠っていることを理解される。これはルスタムにとって珍しいことであった。彼は、老練な狩人のように、敵の本能、賢さを見るのは速かったが、相対の人間として同感を持ったことなどは、殆どなかったのであった。
兜の男は、一定の距離の間を往復しながら、頻りに此方を観ていたが、やがて止って傍の者に何か命令した。