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あいえんきえん

合縁奇縁

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,349 字 · 23 页

青空文庫

「先方だって作州津山だ。僕は行って見たが、結構山の中だよ」

「木挽小屋に五年もいたんだから、大鋸屑の香がするなんて言われると困る」

と冗談を言って、僕は厭な暗合だと思った。線香の下等なのは大鋸屑を交ぜて拵えると聞いている。

「大丈夫だよ。申込めば一も二もない。先方じゃ待っているんだ」

「本当かい?」

「そうだろうと思うんだ」

「思うんじゃ安心出来ない」

「一つ君の身許を話してくれ給え。これ/\/\/\の家柄だということが分っていると僕も話し好い」

「家柄も何もない。百姓だよ。僕のところは」

「今でもやっているのかい?」

「いや、もう足を洗ったけれど」

「兄さんは何をしている?」

「町の衛生委員だ」

「衛生委員と」

と河合君は手帳を出して記入して、

「しかし商売は? 職業の方は?」

「地主だよ。地所を小さく区切って貸している」

と僕は正直だから、嘘をつくにも真実性を失わない。墓地は正に地所を小さく区切って貸すものだ。

「畑でなくて、住宅地だね」

「うむ。町中の閑静な住宅地だ」

「原籍は?」

「山形県酒田市寺町百八番地、木下一竜というのが兄貴で戸主だ」

「山形県酒田市……」

と河合君は書き留めて、